2014年01月20日

バイロケーションの宣伝について

せっかくの主題歌黒夢なので観てきたんですが。

こういう映画の宣伝て難しいだろうなと思う。

確かにこれまでの映画でもっともインパクトのある叙述トリックものって
疑いようなくシックス・センスですからね。
あの映画が話題になって初めて、叙述トリックというものが世間一般に浸透したわけだからね。
バイロケーションの内容を考えれば、宣伝のときに引き合いに出すのは間違ってはない。

しかしそもそも叙述トリックって鑑賞するときの暗黙のルールをひっくり返すからこそ成り立つわけで、
逆に言えば最初からルール疑ってかかられたらそもそもトリックとしては成立しなくて、
どういうトリックでくるか?というメタメタな楽しみ方しかなくなってしまう。
シックス・センスを引き合いに出すということは、そういうオチもあり得るよ、というネタ振りであって、
まかり間違えば観る人のハードルをやたらと上げてしまいかねない。

そうかといって、ただ単にホラーとして宣伝してしまっては、
これはもう完全に量産型ホラー映画のラインナップに埋もれてしまう。
(僕だって最初の頃の予告編では、よくある感じだなとしか思わなかった)
少なくとも、シックス・センスを引き合いに出す=ミステリー寄り映画ですよというメッセージは
より幅広い客層にアピールする力はあるはず。
あのオチを超えるとかあるのかみたいな目で見られる(そもそも端から相手にされない)リスクを取って
ああいう宣伝の仕方にしたのだろうなと、広報の苦労がしのばれたのです。


肝心の内容は、僕は好きでした。
確かにこれまでのJホラー(なんて言い方最近しないか)とはかなり違う作品になっていて、
やたら身にしみる人間ドラマでもあり、ラブストーリーでもあり。
ローカル映画館のレイトショーでガラガラだったけど(初日なのに涙)、
終わってから鼻をすする音も聞こえた。

オススメ。
posted by koy at 20:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年05月12日

藁の楯観てきた

三池崇史の最新作「藁の楯」観てきました。
感想とかネタバレしないと書けないよね。

飯でも食いながらビデオでてきとーに観るので十分な気もするし、
深く重いテーマがあるような気もするし、
こういうとらえどころない感じが三池作品らしい。
でも前作の「悪の教典」のインパクトが相当強かったので、
あれと比べると、気合いは感じるけどオトナ仕事な気はした。

金に目が眩んだ殺意も、
憎しみに目が眩んだ殺意も、
単に幼女が好きで殺したいっていう殺意も
全部一緒じゃねえのっていう挑発が本作のミソなのかなと思うけど、
もしそうならちょっと伝わりづらかった感じがする。

映画は護送車や新幹線で移動する派手な前半と、
新幹線から降りて徒歩やヒッチハイクまがいなことを
余儀なくされるロードムービー的な後半に
大きく分けられる。

前半は文句のつけようなく面白い。
10億円狙いのやつらが次から次へと現れるし、
アクションのスピード感もさすがというか、
予算増えてもアクション演出のキレが失われないのはすごい。
ドンパチ系の映画は最近撮ってなかったような気がするけど
(「悪の教典」はジョーズみたいなもんなのでちょっと違う)、
三池演出が健在であることを見せつけられた。

後半になって映画はだんだん地味になるんだけど、
この辺で軸がちょっとぶれてしまってる気がした。

だいたい、10億円が欲しくて清丸を殺そうとするのと、
直接の被害者ではないにせよ清丸が憎くて殺そうとするのは動機が全然違う。
前半では10億円を狙っていろんな人がウヨウヨ来るので
金の方の動機に観てる方は気が行くけど、
後半になって急に被害者の父とかが出てきたりするので
映画がどっちの動機に焦点を当てようとしているのかがわからなくなる。
清丸は憎むべき人間だから殺されようとしてるのか?
と思ったら余貴美子が出てきて清丸を狙ってるのはみんな貧乏人とか言い出すし
でも最後は結局大沢たかおの葛藤がクライマックスだし。
もーう、どっちなんだよ!と。

個人的には思い切って、お金狙い・ハデな前半と、
憎しみとの葛藤・地味な後半ともっともっとくっきり色分けした方が
よかったのじゃないかと思う。
長回しだったり、音楽がなかったり、カメラが動かなかったり、といった
静かな演出も、三池崇史の持ち味の一つだと思ってるので。
「牛頭」ほどナンセンスじゃなくてもいいけど、
もっと不条理なロードムービー風味に後半はしてもよかったんじゃなかろうか。
現状でも悪くはなかったんですけどね、クライマックス音楽ないし、田舎だし。

奥村がお金狙いの自分の殺意に付けたもっともらしい理由を
「いいわけ」だと看破する銘苅だけど、
自分が憎しみのための殺意を抑えるために作った物語も
結局は取ってつけたものでしかなくて、
銃口の向こうから清丸が「引き金引いてこっちに来ちゃいなよ」と誘惑する、
そういうストーリーがもっと伝わりやすく入ってきて欲しかったなあ、いや妄想ですけどね。

藤原竜也が清丸の余計なもののない純粋な人柄を良く表現していただけに、
護送チーム側の色々と色々なものを背負ってる感との対比をもっとして欲しかった。
posted by koy at 19:06| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年02月24日

「町でうわさの天狗の子」

最近わりとハマってるマンガがありまして。

町でうわさの天狗の子 1 (フラワーコミックスアルファ) [コミック] / 岩本 ナオ (著); 小学館 (刊)

10巻まで出てます。

あんまりジャンルにこだわりなくマンガは読むつもりではあるんですが、
新書サイズで背表紙白地に赤文字タイトルの真正少女マンガにはあんま手出してこなかったけど、
これはたまたま見つけてタイトルが面白かったので手に取ってみたら中身も抜群によかった。

刑部(おさかべ)秋姫っていう女の子が、そのまんまの意味で天狗と人間のハーフなんだけど、
普通に女子高生で、高校生ライフを満喫するってな感じです。

かなり突飛な設定なんだけど、主人公たちの生活にはリアリティがあって、
これは登場人物それぞれの心の動きを丁寧に丁寧に段階追って描いてるからだと思う。

ネタバレにならないようにぼんやりと書くけど、最新巻の10巻で、
秋姫が幼馴染の瞬ちゃん(という男の子がいるんです)を左手に見つけて、
右に目を逸らして、ここでモノローグ挟みつつの、それからもう一度左に向き直って、
瞬ちゃんに声をかける、っていうシーンの丁寧さ!
しかもここモノローグ以外セリフなしですよ、こういうじっくりな表現を
絵だけでやってのけるのがまたマンガならでは感があってわたくし超好みです。

登場人物の動きのステップを飛ばさないので、物語の進みは遅い。
けど、その分巻を追うごとの空気の変容みたいなものにムリがない。
すべてがこれまでの話の展開を踏まえているから、
読み返すと「あーこれがこう繋がってるのか!」っていう部分がたくさん発見できるし。

文句なしオススメです。


こういう感じのマンガ見ると、マンガ書くのと研究するのと似てるなーとか思ったり…。
ロジックを飛ばさずに一歩ずつ詰めてく感じとか。
こういう類のマンガ描いてる人には、「終着点ってどのくらい見えてるんですか?」と尋ねたい。
posted by koy at 22:35| Comment(1) | TrackBack(0) | マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
イマドキの若者の蝶日記+生態学
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